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みんなでつくるFC今治観戦体験向上プロジェクト#2 試合以外も盛り上がる理想的なジャーニー

2019シーズン、FC今治とデロイト トーマツ コンサルティングの協働で実施した「観戦体験向上プロジェクト」を連載でお届けする本企画。第2回は、「スペクテーター・ジャーニー」(観戦のカスタマー・ジャーニー)をテーマに、アンケート調査の分析結果やワークショップを通じて実施した具体的な取り組みについてご紹介します。

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【植野】
皆さん、こんにちは。FC今治の植野準太です。デロイト トーマツ コンサルティングの川野さんと一緒にお届けする本連載。今回はゲストとして、ワークショップにも参加したFC今治中野圭選手にも参戦してもらいます!

【中野選手】
皆さん、こんにちは。FC今治 DFの中野圭です。宜しくお願いします!

【川野さん】
皆さん、こんにちは。デロイト トーマツ コンサルティングの川野遥香です。中野選手、試合でお忙しい中ありがとうございます・・・!

今回のテーマは、「スペクテーター・ジャーニー」ということですが、「ジャーニー」とはそもそもどのようなもので、今回はどのようなアプローチをとったのでしょうか?

【川野さん】
はい、一般的には「カスタマー・ジャーニー」と呼ばれることが多いですが、お客様がサービス・製品の購入や利用などに関わる一連の「流れ」「プロセス」を指します。さらにサービス・製品を利用する具体的なお客様像(ペルソナと呼びます)を設定し、お客様がサービス・製品と接する瞬間だけでなく、その前後を含め、各時点における行動や思考、感情を可視化したものをカスタマー・ジャーニー・マップと呼びます。今回の観戦体験向上プロジェクトでは、試合を知ってから、観戦して帰宅後までの一連の体験を16個の項目で定義し、各体験が全体の推奨度にどのように影響を与えたかを調査しました。以下の図1は一例になりますが、ジャーニー全体を見ることで、提供価値の連続性が可視化され、推奨度への影響や現状分析から、優先的に改善すべき個所を特定することができます。この分析は、観戦体験に相関性があると仮説を立てていたスタジアムの座席種別毎に行いました。さらに、調査結果をもとに座席種別毎のカスタマー・ジャーニー・マップを作成し、具体的なお客様と各場面の顧客体験を想定して課題の抽出、改善策の検討を行いました。

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結果、やはり座席エリアごとに観戦体験は異なったのでしょうか?

【植野】
そうですね。全体的な傾向として、試合そのものだけに影響されないという点は変わらないのですが、座席のエリア毎に、皆さんそれぞれに楽しみ方が違うことがわかってきました。例えば、「メインエリア指定席」のお客様は、イベント会場での体験が最も大きく影響していて、比較的試合当日の体験までに集中していることがわかりました。
「ゴール裏自由席」のお客様は、比較的試合そのものやファンサービス、試合後の情報発信が影響力を持つことがわかってきました。こうした定量的な調査結果や頂いたコメントを基に、1回目のデロイト トーマツさんとのワークショップでは、座席種別ごとのお客様像(ペルソナ)とジャーニー、あるべき姿や具体的な改善施策についてディスカッションしました。

中野さんは、自らファンの方にお電話して来場を呼び掛けるといった取り組みも昨シーズン実施されていますが、選手の視点からみて、この調査結果はいかがですか?

【中野】
試合内容以外の部分に盛り上がりを感じてくれていることが、このクラブの良さであり目指している部分ではありました。一方で、選手としては、試合内容、結果の部分をもっと追求しなければいけないと強く感じました。 また、ファン、サポーターがクラブを応援するには、様々な形があることを知ることができました。ファン、サポーター目線を知ることで、自分たち選手が与える影響の強さも知ることができ、より頑張ろうという気持ちになりました!

お客様像(ペルソナ)とジャーニーを実際にどのように描いたのかとても気になります。具体例を教えて頂けますか?

【川野さん】
例えば、メイン指定エリアのお客様像の一例としては、今治市在住の元気はつらつな主婦A子さん(50代)。夫・娘・息子の4人家族で、息子が所属する地元サッカークラブの応援を機にサッカーを初観戦。FC今治の試合は、職場仲間に誘われて観戦するように・・・といったように、回答頂いた方の属性情報と共に、実際は趣味やデジタル関心度、FC今治との関係など、かなり細部まで設定し、実際のファンの方々のお顔を思い浮かべながらみんなでディスカッションしましたね。 このA子さんの現在のジャーニーと、目指すべきジャーニーを描いたのが図表②・③になります。試合のことを知って、職場仲間の皆さんと観戦計画を立てるがお天気がちょっと心配、シーズンパスを保有する仲間と来場するがみんなで一緒に席をとれるかなあ・・・といったように、試合前・中・後の各タッチポイントと、各シーンでの心の動きや行動・課題を整理して、どうやったらA子さんの観戦体験がもっと良いものになるのか、みんなでアイデアを出し合いました。

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図表②A子さんの現在のジャーニー

ペルソナとジャーニーが具体的で驚きました。実際にメイン指定席で応援して下さっているような・・・調査結果とワークショップを通じて、実際に取り組んだ施策はありますか?

【植野】
はい、SNSでの開場予定や天気情報の発信、指定席のシーズンパスを持っている方向けの「お誘いチケット」、観戦ガイドについては、第1回の調査結果を基にすぐに取り組みました。特に、お天気情報については、当日試合前にTwitterで現地の天気情報を写真付きで配信したところ、投稿がリーチした回答者の7割から「(情報が)役に立った」とポジティブな反応を頂くことができました。配信のタイミングやチャネル、内容をブラッシュアップしながら、継続的に取り組んでいます。

【川野さん】
第1回のアンケート結果とワークショップからは、まずはファンの方の視点を基に改善施策を導き出しましたが、第2回、3回は、FC今治の今後の成長戦略に基づいて、ファンの定義やどうやったらコアなファンになっていただけるかという議論を、皆さんとさらに深めていきました。こちらは次回をお楽しみに・・・

川野さん、締めて頂いてありがとうございます。中野選手からも、今期に向けてぜひファンの皆さんにも一言お願いできますか?

【中野】
今治にとって初めてのJリーグの舞台を存分に楽しみながら、J2昇格に向けて全力で頑張ります!

ありがとうございました。次回(第3回)は、FC今治のファンの定義&コアファンになって頂くため議論について、ご紹介します。次回もお楽しみに!

所属・肩書は記事作成当時のものです

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川野 遥香

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

Customer & Marketing Division Customer Experience Team

コンサルタント/カスタマー・エクスペリエンス・デザイナー

外資系コンサルティングファームを経て現職。CRMビジネスの中でも特にCustomer Experienceの分析および設計をグローバルに担当し、スポーツビジネス、エンターテインメント業界およびMaaS (Mobility as a Service)を中心にB2C、B2B2C領域の顧客体験の設計のなど幅広い経験を有する。FC今治の観戦体験の調査、分析および設計をリード、現在は某スポーツ団体の体験調査に関わる。CXPA(Customer Experience Professional Association会員)

トップパートナー
/ 共生社会実現パートナー

エグゼクティブパートナー