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吉武 博文 新監督インタビュー 後編

吉武博文新監督インタビュー見出しNo.2

JFL昇格、スタジアム、FC今治を世界的なクラブに!

2年後も同じメンバーで、そして新スタジアムを満員に!

―そういうメソッド事業部長としての1年を経て、今年からトップチームの監督になられたわけですが、今年の抱負を是非いただければと思います。

 目標は2つあります。
 まず、今年の目標であるJFL昇格というのは当然あるんですけれども、JFL昇格だけではなく、2年後も同じメンバーでやるということが目標です。
 2年後も同じメンバーでやるというのは、JFLへ昇格し、そこで同じメンバーで戦いJ3に昇格しても同じメンバーで戦う。つまり、J3で戦える個人個人の力量・レベルの選手・メンバーになっているという心も籠めて、2年後の2月1日も同じメンバーでやりたいということです。ただ、JFLに昇格するだけでなく、将来Jリーグで戦えるレベルになるための土台を作る1年間にしていきたいという想いで選手たちにこのことを伝えました。

―もう一つの目標とは?

 もう一つは、来年できる5,000人収容のスタジアムを動員無しに超満員でこけら落としができること、そしてリーグのホーム戦は毎回満員になるということを目標にしています。
 毎回満員になるということは、来てくれるお客さんがもう一度必ず見たいと思うようなゲームが常にできるということです。見に来てくれるお客さんのみんながみんなサッカーに詳しいというわけではないと思うので、そのゲームで何かを感じて、日曜日に試合があるんだったら月曜日の活力になるような、人生の活力になるようなゲームを、「疲れが取れた」、「明日からまた頑張ろう」と思えるようなゲームをしたいと思っています。
 もちろん、勝ち負けの結果が残ることも重要ですが、選手自身のひたむきな姿であったり、一心不乱にボールを追いかけて汗をかく姿であったりが活力になればと。そして、ただ勝てばいいんじゃなくて、相手をリスペクトするようなフェアなゲームができて、なおかつサッカー的にはボールを大切にしてエレガントにスムーズにテンポよくボールが回るようなゲームをすること。攻撃だけじゃなく、守備もゴールを死守するというひたむきな姿をピッチに映すことが、お客さんの活力になるようなゲームをすることにつながるんじゃないかと思っています。そして、一度見たらもう一回見たい、いいゲームだったよと誰かに伝えたい、誰かと一緒に見たいと思ってもらえるゲームをしたいです。

世界的なクラブになるために、サッカーを文化にする。

吉武博文監督No.2

―そういう面では、岡田メソッドもそうですし、フィロソフィーからもそういう、単純に勝つためだけではなくサッカーをエンジョイする、ファンや観客もエンジョイするというものを感じるんですが

 ええ。だから全体的には岡田さんも言うように、世界的なクラブになることを目指しているわけですし、(その根底には)日本代表を強くしたいという想いがすごくあるわけなんですよ。それは、岡田さんは元代表監督だったわけですし、自分も育成年代の代表監督をやっている時にはフル代表を強くしたいという一心でやってましたし。
 選手たちがいかに世界と戦えるようになっていくか、そのためには何が大事かというと、結局は文化、大本にはサッカー文化をいかに創っていくかということがすごく大事だと思うんですよね。もちろん勝負はすごく重要で結果を残さないといけないんですけど、ただそれだけ、ただ勝てばいいというだけじゃないものを岡田オーナーも求めているわけで、そこを両方求めていく、ただ勝つだけじゃない、いいゲームをするだけじゃなく、どちらも追い求めていくというのを特に目標にしていきたい。その根底にあるのはサッカーを文化にするということなんで、少しずつでもいいので文化になるような働きがけができたらいいと考えているんですね。

―そういう意味では、この1年は将来に向けて、Jリーグに向けての非常に大事な1年、土台を作る1年になるわけですね。

 はい。大事な1年になると思います。それは、去年一年が大事ではなかったという意味ではなく、去年の1年間があってこその2年目なわけで。去年は10年後を目指してと言っていたわけですが、それが今年は後9年になったわけで、そういうことをしっかり意識しながらやらないといけないと思っています。

岡田さんとの関係、クライフ、プログレッション(progression)

吉武博文監督No.3

―ところで、今治の生活にはもうずいぶん慣れられたと思うんですが、私生活では岡田さんと一緒にシェアハウスで生活されているわけですよね。どうですか私生活での岡田さんとの関係・生活というのは?

 そうですね。まず、今治の生活に慣れたんじゃないかということなんですが、慣れたのは宿舎とグラウンドを往復することに慣れただけであって、今治全体の生活を満喫しているかというとそういうわけではまだなくて。
 今治にある八十八カ所霊場の一つもまだ回っていないですし、今治城があるんですけどそこにも行ったことは無いんです。今治に居ることや今治の街自体が自分の中の文化になっているかというと、まだまだなんで。監督業をやるとどうしてものめり込んでしまうので、そういう今治巡りみたいなこともやろうと思って目標を立てたんですけど、いつも目標通りにはなかなかいかなくて、火曜日がお休みなんで八十八カ所のどこかに行こうと思ったんですけど、初日から達成できず断念して三日も続かなかったという感じですけど、これからそういうことができたらなあと、そして今治の生活・文化に早く慣れたいと思っています。

―岡田さんとの関係・生活というのはいかがですか?

 今住んでいるところでは、岡田さんがいる時には岡田さんのペースを優先してコミュニケーションをとっているんですけど、一年間一緒にいてもだんだん岡田さんも変わってきたというか、最初こっち(今治)にいる時には時間があったんですね。だからサッカーの話とかメソッドの話とかを四六時中、それこそ夫婦のように話をしていたんですけど、もう半年過ぎたぐらいから今治に来ていても岡田さんは自由な時間が無くて、いろんなところに顔を出されていて、だんだんサッカーの話をゆっくりできる時間も無くなってきた感じですね。
 でも、岡田さんも今年は半分以上は今治にいようと、ピッチにもCMO(チーフ・メソッド・オフィサー)として半分以上は立ちたいと言っているので、今年はもっともっとコミュニケーションが取れる毎日になると思っています。

―今年はピッチに元日本代表監督が二人肩を並べられるわけですから、今年のFC今治はより期待ができる面白い1年になるのではと期待しているのですが、そんな吉武さんはLINEのプロフィール写真がヨハン・クライフで「クライフに逢いたい」と書かれているので、クライフが好きであこがれでもあると思うんですけど、クライフのどういったところに惹かれたんでしょうか?

 まあ、まず言い切るというところですかね。自分はやっぱり言い切れないですし、クライフがどんなことを言い切るかというと「醜く勝つよりも美しく負ける美学を持ちたい」というようなことはっきり言えるっていうのはすごいですね。もちろんプレイも我々の時代格好良かったので、膝から下が長くて、金髪で長髪で、プレイもとっても上手だし、点も取れるし、キャプテンシー・リーダーシップもすごいと。優勝できませんでしたけど、ワールドカップ(W杯)で準優勝、しかも1回しか出てないと。なかなかいないと思うんですよ。1回しかW杯に出ていないのにあれだけ輝いていた選手というのは。
 で、自分がまたサッカーをするようになってトータルフットボール、全員攻撃・全員守備を具現化したのがクライフで、もちろん1つ前にリヌス・ミケレスという監督についてクライフはキャプテンをやってそれを受け継いだんだと思うんですけど、最初ミケレスのことを知らなかったんで、それにクライフの方が目立っていたのでクライフがこれをやったんだと思ってクライフに憧れたりもしてたんですけど。まだまだクライフが目指していたサッカーは完成していないと思っているので、クライフ自身もまだまだ完成させてはいないと言っているので、そのサッカーを岡田さんがオーナーになったこのクラブで100%とはいかないですけど、99%まで近づけるということができたらいいなあと思ってはいます。

―ということは、将来的にはクライフが理想とした100%のサッカーをこのクラブで、早ければ今年中に見られるかもしれないということですね。

 そうですね(笑)。できたらいいなあと思っています。
 でもサッカーには100%というものは無いと思っていまして、だからと言って出来なくていいかというと当然そういうわけではなくて、常に100%を目指して行くと。それで99%をずっと保ち続けると。で、今は99%できたと思っても、サッカーは常に進歩していくわけですから、来年になったらその99%は90%になっているかもしれない、80%になっているかもしれない、そういうものだと思うんですね。だからこそ、その都度リフレッシュしてバージョンアップして99%に近付けるということはすごく大事な作業になってくるのかなと思っています。

―メソッドもクラブもどんどん進化していくと?

 そうですね。だから今使っている言葉はプログレッション(progression)、前進、漸進、前に進むと。ボールを持ったらゴールの方に進んでいくということにもひっかけて、クラブ全体で1歩でも2歩でも前に進んでいくプログレッションサッカーというものを打ち出して行けたらなあと思っています。

―では、今年一年そういう進歩的でアグレッシブなサッカーが見られると。JFL昇格を目指して。

はい、JFL昇格を目指して、さらに先へと進んでいくサッカーをお見せしたいと思っています。

―期待しています。どうもありがとうございました。

ありがとうございました。

吉武博文監督プロフィール写真

吉武博文

大分県立大分上野丘高校でサッカー部に所属し、インターハイ、国民体育大会に出場。大分大学を卒業後は蒲江町立深島中学校に数学教師として赴任。その後、大分市立明野中学校に赴任してサッカー部監督に就任。同校では永井秀樹や三浦淳宏らを指導した。その後、大分トリニータU-15コーチ、日本サッカー協会ナショナルトレセン九州担当チーフコーチ等を経て、2009年にU-15日本代表監督に就任、2011 FIFA U-17ワールドカップの出場権を獲得後、U-15とU-17日本代表監督と兼任することになった。2011 FIFA U-17ワールドカップでは18年ぶりにベスト8に進出し、フェアプレー賞も受賞。
2015年にFC今治のメソッド事業本部長に就任し、2016年からFC今治のトップチーム監督を務める。

トップパートナー
/ 共生社会実現パートナー

エグゼクティブパートナー