2025.04.28
株式会社今治.夢スポーツは、令和7年4月28日に定時株主総会を開催し、第23期(令和6年2月1日から令和7年1月31日まで)の事業報告、決算書類報告を行い、承認されましたのでお知らせするとともに、事業報告の一部を掲載させていただきます。
「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」という企業理念のもと、サッカークラブ運営事業を中心にさまざまな事業に取り組んでいます。2年目を迎えた「アシックス里山スタジアム」を中心とした事業、取り組みも本格化し、私たちの次の大きな挑戦である「共助のコミュニティ作り」に向け大きな一歩を踏み出した一年となりました。
また2024年度は、リスタート10周年の節目の年でもありました。この年にトップチームはJ2昇格を達成することができ、10年間私たちの取り組みを信じて、ご支援ご声援いただいたFC今治ファミリーの皆様と、昇格の喜びを分かち合うことができました。
損益の推移は下記のとおりであります。
純売上高が、パートナー企業数の増加、入場者数の増加などの要因により、昨期対比104.7%と増加したものの、昨年に引き続きアシックス里山スタジアムの利用料及び広告掲出料など100%子会社の株式会社今治.夢ビレッジへの支出やトップチーム人件費の増加のため、販管費及び一般管理費が昨期対比103.2%と増加しました。
結果として、営業損失1億9057万円、経常損失1億6919万円、当期純損失が1億7308万円となり、2期連続の赤字となりました。なお、クラブライセンス交付規則の財務基準F.01で規定されている「3期連続赤字の禁止」に関しては経過措置により今回の赤字で1期目のカウントとなります。
なお、スタジアム管理運営会社の株式会社今治.夢ビレッジは、前出のスタジアム利用料及び広告掲出料に加え、カフェ「里山サロン」の売上や後述するスタジアム命名権収入もあり、純売上高2億2858万円を計上し、さらに企業版・個人版ふるさと納税の収入も加え、当期純利益は1億1361万円となりました。
よって株式会社今治.夢スポーツ、株式会社今治.夢ビレッジの2社合算では、5946万円の当期純損失となりました。
区 分 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
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純売上高 | 1,045,455 | 1,292,369 | 1,352,739 |
販管費及び一般管理費 | 1,068,025 | 1,460,263 | 1,506,590 |
営業利益 | △42,782 | △202,030 | △190,572 |
経常利益 | 9,961 | △180,513 | △169,189 |
当期純利益 | 6,964 | △184,794 | △173,084 |
(千円)
区 分 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
---|---|---|---|
純売上高 | 14,269 | 188,169 | 228,581 |
販管費及び一般管理費 | 63,428 | 213,158 | 199,860 |
営業利益 | △50,466 | △37,375 | 11,332 |
経常利益 | △42,089 | △49,890 | △20,182 |
当期純利益 | △43,158 | △49,405 | 113,619 |
(千円)
各事業及びプロジェクトの取り組み、業績は以下のとおりであります。
Jリーグ昇格5年目でJ2昇格を達成しました。
服部年宏監督を迎えて臨んだ2024シーズンは、開幕から4連勝を飾るも4月中盤から公式戦を6連敗、一時11位まで順位を落としてしまいましたが、6月より12戦負け無しで2位に浮上すると、第36節ガイナーレ鳥取戦を5-0で制し2位が確定。J2リーグへの自動昇格を決めました。また、チームの成績だけではなく、マルクス ヴィニシウス選手がJ3リーグ年間得点王やベストイレブン、最優秀選手賞として表彰されるなど、複数の選手が個人でも好成績をおさめました。
J3リーグの平均入場者数も過去最多の3,786人を記録しました。
また、初めて参戦したJリーグ杯では、J1クラブのヴィッセル神戸を迎えた平日のナイトゲームを実施し、入場者数は5,097人を達成しました。
当社の収入の柱であるパートナー収入に関しては、今期もパートナー数及びパートナー料共に増加し、昨期の7億4400万円から8億265万円と約5800万円の増収となりました。今治市はもちろん、隣町の西条市、新居浜市の企業様のご支援も増え、さらに都市圏の企業様との様々な協業、海外の企業様とのより深い結びつきも続いております。サッカーに留まらない私たちの挑戦への変わらぬご支援の結果と考えております。
入場料収入に関しては、前出の平均入場者数の増加及びJリーグ杯での満員の達成により昨期の7817万円から8315万円と増収。グッズ等の商品売上高も、昨期の6109万円から6614万円と増収しました。
ファン、サポーターの皆様との接点に関しましては、昨シーズンに引き続き今治市内の商店街でのファン感謝祭の実施や、今治市中心部でのパブリックビューイングを実施。昇格を決めたガイナーレ鳥取とのアウェイ戦でのパブリックビューイングには約600名の方々にご来場いただきました。
今後も選手・スタッフ一同、今まで以上に街に出向き、ふれあいの機会を創出していきたいと考えています。
FC今治の下部組織であるU-18、U-15、U-12は、引き続きそれぞれのカテゴリで活動してまいりました。
「岡田メソッド」を用いた一貫指導、そして日本一質の高いピラミッドの構築を目指す「今治モデル構想」の実現を目指し、日々取り組んでおります。「今治モデル構想」に関しては、再構築をすべく今治市の各年代の指導者の皆様とのコミュニケーションをとりながら、新たな仕組みを作り始めています。
また2024シーズンは、U-18がありがとうサービス.夢スタジアムでU-20ベトナム代表と親善試合を実施し、またスペイン遠征も行い、アトレティコマドリードのアカデミーチームとのフレンドリーマッチも実施するなど、国際交流も実施できた一年となりました。
アカデミーの人員体制に関しては、スタッフの育成やアカデミー運営に関して、経験豊富なダイレクターを置き、コーチの再編成を進めながら長いスパンでの発展を目指していきます。
FC今治レディースのトップチームは、初のなでしこリーグ2部への参戦となりました。開幕戦はアシックス里山スタジアムで行われ、738名ものファン・サポーターの皆さまにお越しいただきました。シーズン序盤から下位に低迷する苦しい時期が続きましたが、最終的に後半に勝点を重ねることができ、12チーム中10位でシーズンを終え、残留することができました。
今治市・西条市・新居浜市・四国中央市の中高生選手を中心に構成されたFC今治レディースNEXTから2025シーズンにトップチームへの昇格選手を2名輩出するなど、普及、育成の成果も着実に現れています。
年中から小学6年生までを対象にしたサッカースクール、今治市内、西条市内の幼稚園・小学校を対象にした巡回サッカー教室(無償)を中心に活動しております。
2025年1月時点のサッカースクールの会員数は338名、巡回サッカー教室の合計実施人数は2,619名、長年継続している障がい者を対象としたサッカーイベントにも89名の方々に参加いただきました。
サッカースクールに関しては、2024年度に準備を進め、2025年度より隣町の西条市でのサッカースクールを開始することとなりました。
アシックス里山スタジアムでの夏休みの子ども向けイベントも引き続き実施し、子どもたちだけでなく、大人のサッカー教室、在日外国人交流イベント、パートナー対象のサッカー交流会など、活動のフィールドを着実に増やしています。
2016年から中国の浙江职业足球俱乐部(浙江FC)と提携して、育成世代のチームにおいて、理念・チーム編成・指導法・評価方法の確立など指導体制を構築するサポートをするとともに、指導者のレベルアップ、トップチームに昇格できる選手の育成などに努めております。2024年度も引き続きダイレクター1名、各年代の監督およびコーチを8名、当社より派遣しました。
また2024年度は、ASEAN三菱電機カップ2024サッカークリニックに参加。コーチを派遣し、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピンの6ヵ国で活動しました。
東南アジアでの岡田メソッドの事業化に向けて一歩を踏み出した一年となりました。
野外体験を通じて、“遺伝子にスイッチを入れる”をキーワードに「生きる力」や「感受性」を育むプログラムの実施、また社会人を対象にしたチームビルディング研修などを行っています。
具体的には次世代を対象とした「しまなみアドベンチャー」、「しまなみ冒険キャンプ」上場企業や地元企業、行政機関を対象に共によりよい社会を創っていく「switch!研修」や「Kickoff!研修」を展開。さらにアライアンス事業として企業にとどまらず様々な団体のテーマや目的に沿った企画を提案、実施しています。
企業研修を中心に様々なプログラムを実施することができ、大きく収入を伸ばした一年となりました。
また2024年度は、開校したFC今治高等学校里山校の必修事業として、全校生徒を対象にお遍路チャレンジウォークを実施。今後も学年別の野外体験プログラムを実施していきます。
今治市から指定管理を受託し、西部丘陵公園“しまなみアースランド”を管理運営しております。公園の管理運営業務だけではなく、幼児を対象とした森の中で生き物や植物に触れ合うプログラム“moricco”の実施や、富良野自然塾から導入した“環境教育プログラム”である今治自然塾、そして来園者増加のためのイベント企画・運営を実施しております。
“moricco”の体験者は年間約2,100名、“環境教育プログラム”の体験者は年間約1,200名となっております。
2024年度は今治自然塾開塾10周年記念式典も実施。特別インストラクターである竹下景子氏にお越しいただきました。
さらに来園者増加のイベントのひとつとして、今治市では初となるティラノサウルスレースinしまなみアースランドカップを実施。多くの方々に参加いただき、楽しんでいただきました。
2023年1月に竣工した「今治里山スタジアム」が、2024年5月、株式会社アシックス様に命名権を取得いただき、アシックス里山スタジアム(通称アシさと)に名称変更しました。命名権の取得に伴い、株式会社アシックス様との取り組みも活発化し、アシさとクラブプロジェクトがスタート。株式会社アシックス様のランニングナビゲーターを迎え、地域のランナーやランニングを楽しみたい方々が集結し、ランニングコミュニティ構想のワークショップやスタジアム周辺を走るランニングを実施。アシックス里山スタジアムでのランニングコミュニティを広げています。
また、スタジアムを管理運営する株式会社今治.夢ビレッジと連携して、様々な事業に取り組んでいます。2023年4月にオープンしたカフェ「里山サロン」は、“来るだけで誰か、何かのためになる優しい場所”をコンセプトに、多くのリピーターに愛されるお店へと着実に成長しています。「里山ドッグラン」の利用登録者は約1000名となり、人とワンちゃんが集う、新たなコミュニティが生まれています。
また、FC今治のホーム戦はもちろん年間を通じて利用可能なスイートルームも全室完売。さらにスタジアムの施設貸し出しやスタジアムツアーの実績も着実に増加し、スタジアム利用料収入の増収に貢献しています。
上記のアシックス里山スタジアムの取り組みを始めとして、今後も引き続きスタジアムを核とした、人々が支え合えるコミュニティづくりに挑戦していきます。スポーツ・健康・教育に加え、交通、農業、衣料などのインフラ的コミュニティから、芸術、観光などの発展的コミュニティを意識した様々な事業展開に取り組んでいきます。
その大きな一歩として、2024年10月にFC今治コミュニティ実現へのチャレンジ、志を共にする参画企業の皆様とコンソーシアムを立ち上げ、11月に記者会見を実施しました。今後は、コンソーシアム参画企業の拡充や各社との連携・協働を通じて、賑わい、コミュニティ作りの具体的な取組みを進めていきます。
また、2024年度に開校したFC今治高等学校里山校との協働も進めています。「エラー&ラーン」を合言葉に、実践を重ね体験から学び続ける場づくりを行い、次の世代へと命をつなげていけるヒストリック・キャプテンシップをもったひとづくりにチャレンジするFC今治高等学校里山校。その生徒たちの実践の場として、FC今治は彼らをサポートして、そして共に成長していきます。
地域との共創を通じ、地元の皆さまの心の豊かさづくりを目指す「地域コラボレーション」推進チームを立ち上げました。今治市内の小学校にて、選手・スタッフによる登下校時のあいさつ・みまもり運動の実施や、今治・伯方警察署と「安全・安心なまちづくりに関する協定」を締結するなど、着実に実績を積み重ねています。今後もお祭りなどをはじめとした地域活動への参加をはじめ、さまざまなコミュニティとの取り組みを実施していきます。
FC今治がフットボールに留まらない様々な取り組みにチャレンジしていることを、より多くの方々に認知いただくため、エグゼクティブパートナーのデロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ コンサルティング合同会社様と共にブランディングを取り組んできました。まずFC今治をコーポレートブランドとするため、ロゴをリニューアルし、より視認性、汎用性の高いデザインへと変更しました。そしてブランディングムービーを作成し、「Beyond Football」というキャッチコピーでこれからもフットボールだけではないFC今治を目指していく姿を表現しました。またFC今治のホームページもリニューアルを実施。トップチームの情報の見やすさの改善に加え、様々な事業を知っていただけるレイアウト、導線を意識して作成しました。今後はこの新しいロゴとブランディングムービー、ホームページを活用しながら、さらにより多くの人々にFC今治の挑戦を届けていきます。
長年の対処すべき課題となっていた人事制度の整備について、大きな進展のあった一年となりました。バックオフィススタッフを中心にグレード、評価、報酬の3本柱の基本方針の策定、設計を実施。グレードを再整理し、「高く考え、広く動く」という思想のもと、自身が及ぼす影響の範囲を広げていくグレード設計を行いました。報酬制度の整備に加え、評価面談や四半期面談の内容も整理し、スタッフとのコミュニケーションの量と質の改善に取り組みました。
今後は効果測定を続けながらしっかり年間を通して運用していくこと、そしてその成果をフットボールスタッフにも展開していくことに取り組みます。
エラー&ラーンを重ねながら、引き続き今治.夢スポーツらしい、人事制度の確立に取り組んでまいります。
経理処理の効率化を図るため、経費精算及び債務支払サービスを導入しました。今まで手書きでアナログ処理をしていた小口精算や、紙の請求書での支払処理を、スマホでの読み込みや請求書の受け取り代行を活用し、スタッフひとりひとりの業務を軽減し、さらに仕訳や支払データへの連携により経理スタッフの業務も軽減されました。
また、株式会社今治.夢スポーツと100%子会社の株式会社今治.夢ビレッジの2社の納税に関して、2024年度よりグループ通算制度を適用することとしました。
2024年度は、今治.夢スポーツ単体で当期純損失が1億7308万円となり、2期連続の赤字となりました。一方で、スタジアムを管理・運営している100%子会社の今治.夢ビレッジは、今治.夢スポーツからの利用料及び広告掲出料収入、前出のスタジアム命名権収入、スイートルームの年間利用収入、里山サロンの売上、そして企業版ふるさと納税の収入が伸び、当期純利益は1億1361円となりました。結果として、株式会社今治.夢スポーツ、株式会社今治.夢ビレッジの2社合算では、5,946万円の当期純損失となりました。今後は2社合算での黒字化を目指すべく、パートナー収入および入場者数増加による入場料収入やグッズ収入の増加に取り組みつつ、引き続き、Jリーグのカテゴリに依存しない、フットボールに留まらない活動による収益体制を整えいくことが必要だと考えています。私たちにしかない資産を有効活用し、収支の改善に取り組んでいきます。
上記収支の改善を達成するために必要なのが財務体制の強化です。2024年度に関して、2社合算での赤字とはなりましたが、当初の2024年度予算からは結果として大幅な増益の着地となりました。ただしその着地見込みに関して、高い精度で月次で追跡できる仕組みが整っておらず、結果として着地見込みに応じた期中の上方修正や黒字化に向けての対応策を講じられなかったことは、ひとつの課題として捉えていています。今後は、月次での予算実績管理の更なる改善と、それに伴う着地見込みの精度の向上、スタッフひとりひとりがより数字の意識を高められる情報共有や風土づくりに取り組んでいきます。
2024年度は前出の通り、コーポレートロゴとしてのFC今治ロゴのリニューアル、ブランディングムービーの制作、ホームページのリニューアルなど、ブランディングに関して形として成果を残せた一年となりました。次の段階として、ブランディングに基づきしっかりと広報戦略を立て、“フットボールに留まらないFC今治”をさらに発信し、認知拡大をする一年とします。そのために、ホームページの積極活用やSNSのコンテンツの充実などオウンドメディアでの仕掛けと、テレビ、新聞、WEBなどのマスメディアの方々との関係性の構築による露出増加などに今まで以上に取り組んでいきます。
“成長するスタジアム”と銘打ったアシックス里山スタジアムは、外構部の木々の成長や季節に応じた花々、畑での収穫、そして多様なイベントの実施による人々の賑わいの創出、スタジアムの活用の多様化など、文字通り成長を続けております。ハード面に関しても、2025年2月に大型映像装置が完成し、2025シーズンはご来場いただいた皆様により試合を楽しんでいただける環境へと成長しました。次の段階は増席をしてスタジアムを拡張し、より多くの方々にホーム戦に来場いただく環境を整えることだと考えております。着券率の観点から現状の収容人数では、入場者数を大幅に増やすのは難しいと考えており、現在のJ2カテゴリからJ1カテゴリを目指していく中で、スタジアムの拡張は急務だと捉えており、着手していく予定です。
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